「消すと泣く」「気づくと何時間も見ている」。そんな悩みで、この記事にたどり着いた方も多いと思います。

国の調査では、2歳の56.4%、3歳の72.6%がインターネットを使っています。使っている0〜9歳の子どもの93.9%は、動画を見ています。(※1)
困っているのは、あなたのご家庭だけではありません。

先に結論を書きます。時間を決めるより先に、一度やめる。戻すなら、見せるものを親が決める。 私はそう考えています。

家事の間や、下の子の世話の間に見せてきたことを、責めるつもりはありません。我が家も、手が回らないときは動画に頼っていました。問題は、見せたことではありません。何を、どういう形で見せるかです。

YouTubeが悪いのではありません。「毎日そこにある」ことが問題です

YouTubeそのものが悪いわけではありません。使い方の問題です。

毎日のように見せていると、それはその家の「文化」になります。子どもにとって、あって当たり前のものになるのです。

これは年齢の問題でもありません。小学生から見せ始めても、中学生から見せ始めても、やめられなくなる子はいます。大事なのは、見ることを当たり前にしないことです。

YouTubeには、こちらが選んでいない動画が次々に流れてくる、という難しさもあります。その点は子どもの英語はYouTubeで足りるのかに書きました。

すでに習慣になっているなら、一度やめます

すでに毎日見ているのなら、いったん離れることをおすすめします。いわば、YouTubeデトックスです。泣いてもかまいません。

できれば1か月ほど、テレビそのものをつけない。

そのためには、親も一緒に合わせる必要があります。子どもの前では、親も動画を見ない。 子どもだけに我慢させて、大人は見ている。それでは続きません。

「1日30分まで」のように、時間を決める方法でもかまいません。ただ、一度ついた習慣を少しずつ戻すのは、根気が要ります。気づくと元に戻っている、ということになりがちです。

子どもの習慣を変えるには、親の覚悟も要ります。

泣いても、合わせません

消すと泣く。もっと見たいと怒る。我が家でも、文句を言われることはありました。

それでも、合わせませんでした。泣いたから延ばす。怒ったからもう1本。それを繰り返すと、子どもはそれを覚えます。合わせることがクセになると、子ども自身が、自分の気持ちを抑えられなくなっていきます。

近い結果を示した研究もあります。3〜5歳の子ども422人を半年間追ったところ、子どもをなだめるためにスマートフォンやタブレットを使う頻度が高いほど、その後の感情の揺れが大きくなる傾向が、男の子と、活発な気質の子で見られました。(※2)

戻すときは、穏やかなものを

しばらく離れたあとで動画を戻すなら、刺激の少ない、子ども向けの穏やかな映像から、少しずつ慣らしていきます。

私が考える「穏やかな映像」の条件は、3つです。

  • 音:声のトーンが穏やかで、急に大きな音が出ない
  • 映像:場面が頻繁に切り替わらず、カメラの動きが激しくない
  • 内容:物語や映像の中に「戦い」がない

子どもが好むものが、子どもにとって良いものとは限りません。刺激の強い映像ほど、子どもは食いつきます。だからこそ、選ぶのは親の役目です。

見せる場面は、決めておくと楽です。我が家では、朝、保育園に出かける前や、お風呂の前によく見せていました。次の予定があるので、自然に終わります。

もちろん、これは一例です。授乳のときや、どうしても手が回らないときにも、動画に助けてもらっていました。そういうときに見せるのは、まったくかまいません。ただし、穏やかなものに限る。 我が家で守っていたのは、そこです。

中身を入れ替えるだけで変化が出た、という実験もあります。3〜5歳の子どもがいる565の家庭で、見る時間は減らさずに、攻撃的な場面の多い番組を、思いやりや学びを扱う番組に入れ替えてもらいました。半年後、入れ替えた家庭の子どもは、人との関わり方や行動の評価が良くなっていました。(※3)

具体的な番組と、テンポの速い番組についての研究は、子どもに見せる英語番組の選び方にまとめています。

「何分まで」より「何を見せるか」

「1日何分までならいいのか」。多くの方が気になる点だと思います。

公的な目安はあります。WHO(世界保健機関)は、1歳には画面を見せることをすすめず、2〜4歳は1日1時間までとしています。(※4) 日本小児科医会は、2歳まではテレビやビデオを控えること、すべてのメディアを合わせて1日2時間までを目安にすることを提言しています。(※5)

目安があるのには、理由があります。多くの研究をまとめた分析では、画面を見る時間が長い子どもほど、言葉の力が低い傾向がありました。同じ分析で、教育的な番組を見ている子どもや、大人と一緒に見ている子どもは、言葉の力が高い傾向がありました。(※6) 時間はどうでもよい、とは言いません。

正直に書くと、我が家はこの目安より長めでした。1歳から4歳ごろまで、1日1〜2時間ほど、英語の番組を見せていました。

それでも困ったことにならなかったのは、見せるものを決めていたからだと考えています。同じYouTubeでも、川の流れや焚き火のような映像なら、やめられなくなることはまずありません。子どもを引きつけて離さないのは、時間ではなく、中身です。

時間を気にするなら、その前に中身を見直す。私の考えは、この順番です。

YouTubeは、自分で止められるようになるまで

我が家では、子どもが自分で止められるようになるまで、YouTubeは見せませんでした。「何歳から」という線は引いていません。

正直に言えば、我が家でも崩れかけたことはあります。それでも続けてみて分かったのは、刺激の弱い動画でも、子どもの興味は十分に引けるということでした。

Learning Arts ENGLISH の場合

私たちの教材も、この考え方で作っています。幼児期に英語を浴びて繰り返し声に出す、ブリッジ英語メソッドという考え方です。

刺激は少なめで、知育の要素があり、英語に触れられます。YouTubeのように広告が出ることも、刺激の強い映像に飛んでしまうこともありません。

子ども向けの穏やかなコンテンツのひとつとして、選択肢に入れてもらえればと思います。

まとめ

  • YouTubeそのものが悪いのではない。毎日見ることが「当たり前」になることが問題
  • すでに習慣になっているなら、一度やめる。できれば1か月、テレビをつけない。親も子どもの前では見ない
  • 泣いても、合わせない
  • 戻すときは、穏やかなものから。音が穏やか、場面の切り替えが少ない、「戦い」がない
  • 手が回らないときに見せるのはかまわない。ただし、穏やかなものに限る
  • 「何分まで」より先に、「何を見せるか」を決める
  • YouTubeは、子どもが自分で止められるようになるまで待つ

出典

  • ※1 こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」調査結果
  • ※2 Radesky, Kaciroti, Weeks, Schaller & Miller (2023) "Longitudinal Associations Between Use of Mobile Devices for Calming and Emotional Reactivity and Executive Functioning in Children Aged 3 to 5 Years" 論文
  • ※3 Christakis et al. (2013) "Modifying Media Content for Preschool Children: A Randomized Controlled Trial" 論文
  • ※4 WHO (2019) "Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age" 発表
  • ※5 日本小児科医会 (2004)「『子どもとメディア』の問題に対する提言」提言
  • ※6 Madigan, McArthur, Anhorn, Eirich & Christakis (2020) "Associations Between Screen Use and Child Language Skills: A Systematic Review and Meta-analysis" 論文