英語は何歳から始めるべきかの記事で「英語の動画を見せるなら、場面と言葉がセットで出てくるものを選んでください」とお伝えしました。
では、具体的にどんな番組がいいのでしょうか。
ここでは、我が家で実際に見せてきたものと、意識して避けてきたものをお話しします。
いちばんの鉄則:低年齢のうちは「味の薄いスープ」を
良い番組の基準は、ご家庭によって違ってよいと思います。ただ、私がもう一度子育てをするとしても絶対に守るであろう鉄則が、ひとつだけあります。
0〜2歳の時期に、刺激の強い映像を見せないことです。
刺激の強い映像は、インパクトが強く、そのときの記憶にも残りやすいものです。ところがそれを続けていると、子どもは徐々により強い刺激を求めるようになり、飽きっぽくなっていきます。
ですから、音も映像もできるだけ穏やかなものを選んでください。正直なところ、私たち大人からすると「味の薄いスープ」くらいの感覚のコンテンツがちょうどいいのです。
研究でも、同じ方向の結果が出ています
これは私の実感ですが、近い結果を示した研究があります。
4歳の子ども60人を3つのグループに分け、テンポの速いアニメを9分間見たグループ、教育番組を9分間見たグループ、お絵かきをしたグループを比べた実験です。見た直後に自制心や記憶のテストを行ったところ、テンポの速いアニメを見たグループだけ、成績が明らかに下がりました。※1
その後の研究では、効いているのは「テンポの速さ」よりも「ありえない出来事が次々に起こること」のほうだとわかってきました。テンポが遅くても、ありえない展開の多い番組では、同じように成績が下がったのです。※2 5〜6歳を対象にした別の研究でも、同じ結果が確認されています。※3
ただし、正直に申し上げておきます。これらはいずれも4〜6歳の子どもを対象に、見た直後の影響を測った研究です。0〜2歳を直接調べたものではありませんし、長く残る影響を示したものでもありません。
それでも「幼いうちは穏やかなものを」という方向を、支えてくれていると思います。
年齢別のおすすめ
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0〜1歳:大人にはつまらないくらいで、ちょうどいい
とにかく、音と映像の刺激が少ないものを選んでください。大人が見て「退屈だな」と思うくらいで、まったく問題ありません。
我が家の上の子たちが小さかったころは、手軽に手に入る素材が本当に少ない時代でした。当時買った英語教材に付いていたDVDを、繰り返し見せていました。
この時期は流しっぱなしにせず、親が一緒に見て、歌ったり声をかけたりしながら見せてあげてください。
2〜3歳:少しだけ、動きと物語のあるものへ
このあたりから、多少の動きとストーリーがある映像がおすすめです。
- セサミストリート:我が家では1歳以降に見せていました。ここでも、とにかく同じものを繰り返しました。現在はNetflixで配信されています。
- ペッパピッグ:日常の場面が中心なので、言葉と場面が結びつきやすい番組です。Prime Video、Netflix、Huluのほか、公式のYouTubeチャンネルでも見られます。
- ブルーイ:日本ではまだそれほど知られていませんが、非常におすすめです。この記事を書いている時点ではDisney+で配信されていて、NHK Eテレでも放送されています。
4〜5歳:1話ごとに完結する物語でも
このころからは、はっきりと1話ごとに物語が成立しているアニメでも大丈夫です。
- ギャビーのドールハウス(Netflix)
- トゥルーと虹の王国(Netflix)
- スーパーモンスターズ(Netflix)
- ディズニー映画
コンテンツの幅がぐっと広がります。ただし、このくらいの内容になると物語が複雑になるため、その分、土台となる英語力がかなり必要です。
逆に言えば、このあたりのコンテンツを英語字幕だけで理解できるようになったら、正直なところ英語教材は卒業してもいいかもしれません。
小学生:「何を見せるか」より「嫌いにならずに続けられるか」
小学生は、それまで英語に触れてきたかどうかで大きく変わります。
英語のレベルがまだ低いのであれば、2〜3歳向けとして挙げたものの中から、本人が興味を持ってくれそうなものを選んでください。ある程度聞き取れるのであれば、ディズニー作品などでもまったく問題ありません。
大事なのは、「何を見せるか」よりも「英語作品を嫌いにならず、続けていけるかどうか」です。多少内容が難しくても、本人が好きで見られるのであれば、小学生からは好きなコンテンツで構いません。
見せ方の3つのルール
日本語吹き替えは使わない
日本のコンテンツは日本語で、英語のコンテンツは英語で見せてください。
英語の番組をわざわざ日本語吹き替えで見せてしまうと、せっかくの英語に触れる機会がなくなってしまいます。
字幕は、あれば付ける
英語字幕が用意されていれば、付けておいてください。耳で聞いている音と、文字とがつながっていきます。
繰り返しは、飽きるまで
「何回見せればいいですか」とよく聞かれますが、目安はありません。幼児期の子どもは、飽きるまで同じものを見て大丈夫です。
我が家でも、高額な英語教材を買ったのに、実際に使ったのは最初のDVDばかりでした。ところが、この同じものの繰り返しが、非常に良かったのです。
避けたほうがいいもの:「戦い」が中心の物語
もうひとつ、注意点があります。
子どものうちに与えるコンテンツは、なるべく「戦い」が少ないものを選ぶとよいでしょう。
敵が出てきて主人公を追い詰め、結果として戦う。この構図は、たとえかわいい絵柄であっても、幼児には一定の緊張感を与えてしまうものです。
そしてもうひとつ。戦うことが前提の物語である以上、出てくる言葉の種類が、そういった系統に偏りがちになります。これも、ひとつのリスクだと考えています。
昔のディズニーアニメにも良い作品はたくさんありますが、この点だけは確かめてから見せてあげてください。
Learning Arts ENGLISH の場合
私たちの教材も、この考え方で作っています。幼児期に英語を浴びて繰り返し声に出す、ブリッジ英語メソッドという考え方です。
幼い子でも安心して見られる穏やかな歌や動画から入り、成長に合わせて、場面と言葉がセットになった内容へ進めるようにしています。同じものを繰り返し見られることも、大切にしている点です。
まとめ
- 0〜2歳のうちは、刺激の強い映像を避ける。大人には「味の薄いスープ」くらいでちょうどいい
- 2〜3歳からは、セサミストリートやペッパピッグ、ブルーイなど、少し動きと物語のあるものへ
- 4〜5歳からは1話完結のアニメも。ただし、土台となる英語力が必要になる
- 小学生は、今の英語のレベルに合わせて。嫌いにならずに続けられることが、いちばん大事
- 日本語吹き替えは使わない。字幕はあれば付ける。繰り返しは飽きるまで
- 「戦い」が中心の物語は、なるべく避ける
出典
- ※1 Lillard & Peterson (2011) "The Immediate Impact of Different Types of Television on Young Children's Executive Function" 論文
- ※2 Lillard, Drell, Richey, Boguszewski & Smith (2015) "Further Examination of the Immediate Impact of Television on Children's Executive Function" 論文
- ※3 Rhodes, Kirk, Cummins & Jones (2020) "Immediate impact of fantastical television content on children's executive functions" 論文