「英語は何歳から始めればいいのでしょうか」

いちばん多くいただく質問のひとつです。早すぎると日本語に影響しないか、遅すぎると手遅れにならないか。どちらも心配になりますよね。

この記事では、私の子育ての体験と、年齢と外国語の習得について調べた研究をあわせてお伝えします。

結論:日本語が固まる前に、少しずつ

私の考えは、日本語が固まる前に始めておくことです。理想を言えば、3歳ごろまでに少しずつ始めておきたいと考えています。

「少しずつ」がポイントです。いきなり毎日たくさん、ではありません。生活の中に英語の音が流れている状態を、早いうちから作っておくことが大事です。

研究ではどうなっているか

年齢と外国語の習得については、海外で多くの研究があります。代表的なものをご紹介します。

急に閉じる扉はない。ただ、早いほど届く場所が高い

約67万人のデータを分析した研究では、文法を覚える力は17歳ごろまで高いまま保たれ、その後ゆるやかに下がっていくと報告されています。※1

一方で、ネイティブ並みの文法に届くには、10歳ごろまでに始める必要があるとも述べています。生まれてすぐに始めた人と、10歳で始めた人の差はほとんどありませんでした。※1

10歳を過ぎると到達点が下がるのは、学ぶ力が急に落ちるからではありません。ネイティブ並みになるには長い年月がかかるため、遅く始めると時間が足りなくなる、という説明です。

なお、この研究の「ある年齢でぱっと扉が閉じる」という見方には、なだらかに下がっていくだけだという再分析も出ています。※2

音の聞き分けは、赤ちゃんのうちに決まっていく

赤ちゃんは生まれたとき、世界中の言葉の音を聞き分けられると言われています。ところが生後6か月から12か月のあいだに、母語にない音を聞き分ける力を少しずつ失っていきます。

9か月の赤ちゃんに中国語を聞かせた実験では、生身の人が話しかけると聞き分ける力が保たれました。ところが、同じ内容を映像や音声で流しただけでは、効果が見られませんでした。※3

早く始めても、量が少なければ差は消える

学校の授業のように、英語に触れる時間が限られている場合の研究もあります。

スイスの研究では、早く始めた子どもの有利は中学校に入るころまでにほぼ消え、17歳から18歳ではまったく見られなくなりました。成績を左右したのは、始めた年齢よりも家庭の姿勢や支えでした。※4

つまり、早く始めることは大切ですが、それだけでは足りません。十分な量を、長い期間続けてはじめて、早く始めた意味が出てきます。

年齢別にやること

0〜1歳:聞かせるだけでも、無理に始めなくても

この時期は、歌や動画を聞かせるだけで十分です。無理に始める必要もありません。

ひとつ気をつけていただきたいのは、流しっぱなしにしないことです。2歳ごろまでの子どもは、画面より生身の人からのほうがずっとよく学ぶとされていて、この差は3歳ごろから小さくなっていきます。※5

ですからこの時期は、親が一緒に見て、歌ったり声をかけたりしながら聞かせてあげてください。

2〜3歳:いちばんの黄金期

私が最も大切だと考えている時期です。

日本語の土台ができつつあるこの時期に、英語も一緒に土台へ組み込んでしまいます。中心はやはり歌や動画です。

できれば、声に出す練習も少し取り入れてください。フォニックスや簡単な単語を口にしてみるだけで、英語の発音に慣れていきます。

4〜6歳:本人の「好き」を大事に

このくらいになると、自己主張がはっきりしてきます。親が選んだものを素直に見てくれるとは限りません。

ですから、本人が好きな英語のコンテンツを見せてあげてください。無理に歌にこだわる必要もありません。好きなものなら、繰り返し見てくれます。

小学生:場面と言葉がセットになっているものを

簡単なストーリーや話の展開があるものが理想です。ただ、はじめて英語に触れる子にとっては、ストーリーものは難しく感じられます。

導入には、簡単な動画やアニメで、場面とその場面で使う言葉がセットで出てくるものをおすすめします。何が起きているかが見て分かれば、言葉の意味も自然につかめます。

小学生からでは遅いのか

遅すぎることはありません。ただ、難しくはなります。

小学校低学年くらいまで日本語だけの生活をしてきた子どもの多くは、自分が理解できない英語のコンテンツを嫌がるようになります。

一方で、あまりに簡単な内容だと、今度はつまらなく感じてしまいます。ちょうどいいレベルのものを探すのが難しくなるのです。

先ほどの研究で、10歳ごろがひとつの境目とされていたことも、この実感と重なります。

私の家の場合

私には4人の子どもがいます。上の2人と下の2人で、始め方がまったく違いました。

上の2人は、小学生から始めました。当時は未就学の子ども向けの英語コンテンツが少なかったので、英語教室に通わせました。週に1回、90分です。ですが、それで話せるようにはなりませんでした。

下の2人は、0歳から音楽で始めました。高額な英語教材も買って試しましたが、実際に使ったのは最初のDVDばかりでした。

ところが、この「同じものの繰り返し」が非常に良かったのです。何度も見て、何度も聞いたことで、英語の音が自然に身についていきました。

下の2人がやったことは、単純です。幼児期から英語を浴び、繰り返し声に出す。それだけです。

私たちはこのやり方をブリッジ英語メソッドと呼んでいます。英語を「勉強する言語」ではなく「使う言語」にしてしまうまで、橋を渡してしまう、という意味です。

Learning Arts ENGLISH の場合

Learning Arts ENGLISH は、この2人の家庭で10年以上かけて実証したブリッジ英語メソッドを、どの家庭でも再現できるようアプリにしたものです。

幼い子でも楽しめる歌や動画から入り、成長に合わせて、場面と言葉がセットになった内容へ進めるようにしています。同じものを繰り返し見られることも、大切にしている点です。

まとめ

英語は、日本語が固まる前に、少しずつ始めるのがおすすめです。理想は3歳ごろまでです。

ただし、早く始めるだけでは足りません。十分な量を、長い期間続けることが大切です。0〜1歳のうちは、親が一緒に見て、声をかけてあげてください。

小学生からでも遅すぎることはありません。子どもが嫌がらない、ちょうどいいものを選んであげてください。

出典

  • ※1 Hartshorne, Tenenbaum & Pinker (2018) "A critical period for second language acquisition: Evidence from 2/3 million English speakers" 論文/解説記事
  • ※2 van der Slik et al. (2022) "Critical Period Claim Revisited" 論文
  • ※3 Kuhl, Tsao & Liu (2003) "Foreign-language experience in infancy" 論文
  • ※4 Pfenninger (2019) "Starting Age Overshadowed" 論文
  • ※5 "Video Deficit in Children's Early Learning" 論文

※ 記載の学習成果は個人のものであり、同等の結果を保証するものではありません。